
痴虫 海馬
魚を釣る方法なんて何百、いや何千、何万通りもある。
最初に覚えたのは浮き釣り。
竿に糸を結んでその先に針。
状況に合わせた位置によりもどしやおもりや浮きをつける。
鮒やモロコを釣った。
次は投げ釣り。
ハゼやガッチョやキス。
天秤おもりは種類が様々。
そこへ枝針。これまた色々ある。
そして遂にルアーを知る。
最初はスプーンやスピナー。
理由は安かったから。でも全く理解できずにすぐにワームへ。
なんせ昔から言葉にやられるタイプでしてテキサスリグやサウスキャロライナリグって響きにノックアウト。リグって言葉にとにかくしびれた。
本で見た色んなリグを試したり、自らの工夫をこらしたセッティングでリグを楽しんだ。
私的な解釈でいうとリグとは、イコール仕掛け。
罠でありカラクリであり工夫であり手段。
その後にハードプラグにのめり込んでいく。
そこで、はっきりとしたラインを引くことができると思うのです。
”リグ=仕掛け”ってものは、絶対的完成形がない。常に変幻自在。
でもプラグは、そのもの自体が完成形。既成されたリグ。
仕掛けを作るという行為が無くなり、その代わりに様々な既成されたセッティングが用意され、状況にあった選択をする事で釣りを成立させる。
どちらも奥深い世界です。
別物と言えば別物です。
でも同じルアーフィッシングなのです。
何を優先するかは、人それぞれ。
自分はTWプラッギングを選びました。
そちらに娯楽としての可能性の広がりを感じたからです。
それは、プラグに惚れた部分が大きく影響している。
釣り具としての性質じゃなく、単にプラグのビジュアルや存在感。
日本のトップウォーターシーン自体,そもそもそういう魅力で築き上がってきている部分がある。
誰しも自分のボックスの中を見れば、否定はできないはず。
サーフェスプラグありきのtop water bassingということです。
でも、そういう感覚に夢中になりすぎて、そっちばっかりにいってしまうと、たまにフッとバカバカしくなるときがある。
ルアーはオモチャじゃなく、アートでもなく、釣り道具なんだって基本的なことが飛んでしまってしまうのです。
自分が思うにそれは、きっと、プラグが自らセッティングする仕掛けじゃないから。
リグを作る必要性がない道具だから。
それが釣り道具としての匂い、性質を薄くしてしまっている。
でもね、たまにハッとさせられるルアーってあるんですよ。
既成されてるにも変わらず、仕掛けを感じさせるルアーが。
そういうのを見るとプラグってのは、元来、魚を釣る為の罠、仕掛けなんだって強く感じる。
生々しさを感じる。
だからってそれがいいルアーだとは、一概には言えないけど。。
ここ数年では、この海馬に、とても”仕掛け”を感じる。
部分的にみれば別に目新しいものはない。
ペラにブレードそしてフック。
そして、それらを固定するボディ。ただそれだけ。
しかしこのセッティングにすることで、なんともいえない生々しさが臭ってくる。
アクションもある意味ショッキング。
ほんとこのルアーには、これ自体がリグであり、魚を食いつかせる罠またはカラクリ仕掛けって匂いを感じる。