
LIFE BAIT DATER
1995年、終戦50周年という節目のこの年、世界各地で平和式典が行われた。
僕は8月6日、「被爆50周年広島市原爆死没者慰霊祭並びに平和記念式」というものに参加するため、広島に降り立った。
目的は世界平和祈願そしてCATSに行く為だ。(CATS=広島の老舗釣具屋さん)
当時の首相アホの村山などのお偉いさんたちの参加もありで大規模で行われた式典。
全国いや世界各地から大勢の人が集まった。
1945年の原爆投下の翌日の日付の入った、当時刷られる事のできなかった広島新聞の復刻など、様々な形で世界へ反戦メッセージが放たれた。
戦争の悲惨さを改めて胸に刻んだ一日でした。
そしてあくる日、気持ちを入れ替え朝からCATSに向かったのだ。
当時のCATSには「=ズイール」のイメージを強く持っていた。
どこからともかく噂を聞いていたので、ぜひ行ってみたかったのだ。
しかし、大きく育てすぎた理想のため、ギャップによる自滅で大阪に戻るはめに。
もう二度と行く事はないだろうと思っていたが、その二年後の1997年再び足を運ぶ事に。
友達の実家が広島でそこに遊びに行ったついでだった。
いや、ただのついでとは、言い切れない。
事前に電話をしマスキージタバグがおいてるのを確認していたので、それを買う目的もあった。
約2年ぶりに訪れたCATS。何かが変わっていた。
奥に道楽のルアーが沢山飾られていた。
店が変わったのか、俺が変わったのか、以前より面白い店に感じられた。
そして、あるルアーに出会う事となったのだ。
ひときわ俺の興味をそそったそのルアーは、さりげなく、レジ横に展示されていた。
「これ売り物?」
「違います。サンプルです」
「これ売ってください」
「ダメです」
こんなやりとりをした。
「大阪からわざわざ来た」など心を揺さぶる言葉を連発してみたが、無駄に終わった。
名物店長が不在だったのが、一番の敗因?もしくは幸運?
結局マスキージッターバグだけを手に、後ろ髪を引かれる思いで店を後にした。
その日、脳裏に「LIFE BAIT」の文字が、引っ掻き傷のように深く刻まれたのだ。
「欲しいものは、必ず手に入れる」若さゆえの貪欲な性格。
その後、大阪に帰ってきてからは、毎月、電話を入れ入荷をチェックした。
そして遂に手にしたのだ。
10個ほどまとめ買いした記憶がある。
届いた箱を夢中で開き、中からLIFEBAITと書かれた箱を取り出し、そっと蓋をあけたあの時の気持ち。
僕はこのプラグを手の平の上に乗せるとあの頃の気持ちがフラッシュバックする。
まるで昔、よく聞いた曲を聞くとその頃の思い出や空気感が思い出されるのと同じ感覚。
釣り具ってほんといいですね。
まるで、記憶や思い出を刻んでいくレコーダーのようだ。
もし、記憶喪失になってもこの釣り具達が全てを呼び覚ましてくれることだろう。

